福島国際研究教育機構(F-REI)の知見と地域のアイデアを掛け合わせ、新たな価値を生み出す「F-REI地域連携加速化補助金」。ここでは、採択事業者ごとの取り組みについてご紹介していきます。
今回は「株式会社マスヒロ」について、事業立ち上げの背景やF-REIとの具体的な連携内容について伺ってきました。
浜通りの交通課題解決と、F-REIの力を活かした新たなまちづくりに向けたマスヒロの意気込み、ぜひご覧ください。 

■事業者プロフィール

株式会社 マスヒロ
所在地:東京都渋谷区(本店)、東京都立川市(支店)
代表者:代表取締役 増子 博之
事業概要:スタートアップ企業として創業5年目。2輪から4輪まで、多種多様な次世代モビリティを包括的に扱い、機体の提供だけでなく地域の課題解決に向けたコンテンツ造成(プラットフォーム構築)までをワンストップで支援。

■エントリーのきっかけ:浜通りで見えた「交通分断」の課題

代表の増子氏は、自身のご両親の出身地である福島県や宮城県が震災から長い復興活動を続ける中、「自分も何か役に立てないか」という思いを抱いていました。2025年6月、復興庁の「浜通り復興リビングラボ実証事業」に参加したことを機に、いわき市、川俣町、浪江町とマッチング。浪江町駅西側地区共創会議のモビリティワーキンググループのリーダーを務める中で、現地を視察しF-REIの存在を知ります。

そこで目の当たりにしたのは、駅からの二次交通が不足する「交通分断(ラストワンマイル問題)」でした。F-REIという巨大拠点が浪江町で本格稼働すれば、研究者や関連企業が集まり、まちの姿は劇的に変化します。交通課題の解決と新しいまちづくりに向けて、自社の多様なモビリティソリューションが貢献できると考え、本補助金へのエントリーに至りました。

■ 事業の目的と概要:F-REIだからこそできる「実証と連携」

電動モビリティについて説明してくださる増子氏。

本事業では、F-REIを起点とした研究員や来訪者の二次交通の利便性を高め、浪江町および浜通りの魅力向上を図ります。

【F-REIと連携する最大の意義】
モビリティの実証において、F-REIとの連携は非常に大きな意味を持ちます。F-REIには、国内外からトップクラスの研究者をはじめ、学生、外国人、視察者など、多様なバックグラウンドを持つ人々が集まります。 観光客だけでなく、「研究者視点」でのフィードバックや、多様な属性のユーザーからのインプットを得ることで、モビリティ事業としての解像度が格段に上がります。

具体的な実証内容として、以下のような取り組みを進めます。
○F-REI滞在者・関係者の利便性向上と周遊促進
駅からF-REIへの通勤にとどまらず、外部からの研究者や学生が来訪・滞在することを想定。単独での町内移動や社会学習ツアーなどにおける軽モビリティの有効性を検証し、あわせて脱炭素(ゼロカーボン)にも寄与する。
○安全な道路・走行環境の検証
浪江町周辺の道路環境や走行環境について、実際の走行を通じて危険箇所を把握し、安全なモビリティ運用のためのインフラ課題を調査する。
○多様なニーズへの対応
16歳以上であれば免許不要で乗れる特定小型原付枠を活用。2輪のキックボードから4輪のシニアカータイプまで用意し、誰もが利用できる環境を探る。
○先端技術の融合
将来的には、浪江町に拠点がある水素ステーションと連携した「水素モビリティ」の導入など、F-REIの研究領域と親和性の高い産学連携も模索する。

■ 本事業内で目指す成果・目標

バッテリー残量などが分かりやすく表示されるデジタルディスプレイと、便利なスマートフォンホルダー。


株式会社マスヒロが掲げるビジョンは「誰もが楽しめて社会に役立つ未来の創造」。

多様なモビリティを活用し、異なる課題やニーズを満たすことで、住む人も訪れる人も「ラクに楽しく安全」に移動できるスマートシティの構築を目指します。 「住む人が楽しめれば、より多くの訪れる人を呼び、地域の賑わいと触れ合いの創出により、地域の魅力向上に繋がります」と増子代表。若者から免許を返納した高齢者まで、あらゆる世代が活用できる地域移動の仕組みを研究し、脱炭素と地域回遊性の向上を両立させます

■ 目下の取り組み(本格着手に向けて)

モビリティの一例、電動キックボード。次回以降、様々なモビリティをご紹介してまいります。


現在は、本格的な実証実験に向けた準備が急ピッチで進んでいます。 直近の予定として、F-REI敷地内等でのポート(拠点)設置場所の策定や、多様な電動モビリティ(2輪の電動キックボード、漕がずに進める電動サイクル、4輪モビリティなど)を用いた試乗会・乗り比べを実施します。

また、現役の大学生が町内を巡るデモツアーを実施し、将来、F-REIに滞在するインターン生等への有効性を検証する予定です。安全面にも徹底して配慮し、運転レクチャーの実施も進めています。

F-REIと浪江町を舞台に走り出す、次世代モビリティの挑戦。次回「実践編」のレポートにもぜひご期待ください!