福島国際研究教育機構(F-REI)の知見と地域のアイデアを掛け合わせ、新たな価値を生み出す「F-REI地域連携加速化補助金」。 今回は、株式会社ゆめサポート南相馬が主催するロボット分野の技術者育成事業「Cross-Tech育成塾2026」の講義の様子をレポートします。
F-REI講師からの特別講義を前に、まずは地域の若手技術者たちがロボットづくりの基礎と「ビジネスを生み出す思考法」を学ぶ実践的なスタートを切りました。
■ お手本から学ぶ、実践的なロボットづくり
9月16日、ものづくり人材を育成する職業能力開発校・テクノアカデミー浜のロボット・環境エネルギーシステム学科実験室にて、第1回目の講義【キックオフ①構想立案】が開催されました。参加したのは、浜通り地域の企業で働く入社3年目程度までの若手技術者たちです。

講義では、ロボットづくりの基礎を体系的に学べるよう、この講義のために作られたテキスト『ゼロから学ぶ移動ロボットの製作2』をもとに、ロボットづくりの基本が解説されました。 山崎講師は「ロボットを作れと言われても、最初はどう作ればいいか困るはずです。だからこそ、1つの基本から応用を学ぶことが大切。形が違うロボットでも、基本が同じなら同じプログラムで動かすことができます。スマートフォンの操作性や車のインターフェースが統一されているように、人間にとって『体が覚える操作』は非常に重要です」と、論理的に設計する意味を説きました。
■ 「誰でも使える」がビジネスを生む。地域を発展させる人材へ
講義の中で特に強調されたのが、開発者としての「視点」と「ビジネスへの意識」です。

「アニメのロボットは主人公しか使えないことが多いですよね。でも、現実のロボットづくりで『作った本人や特定の人しか操作できない』という状況は困るんです。私たちが競技ロボットを作る際も、実は『災害対策用ロボット』を想定して設計していました。災害現場で使用するロボットは、誰でも直感的に操作できることが必要不可欠です」と山崎講師は伝えます。
「誰でも使えるものを作れるということは、それが社会に必要とされ『仕事(ビジネス)になる』ということです。地域を発展させるためには、単に技術力があるだけでなく、こうしたユーザー視点を持ってビジネスとして有効な製品を生み出せる人材が欠かせません。作りたいものを作るのではなく、必要なものを作る。選ぶのはユーザーなんです」という本質的なメッセージに、参加者たちは真剣な眼差しを向けていました。
■ 参加者の声:経験ベースの学びから広がる視野
今回の参加者の一人である、南相馬市の製造業会社で働くKさんにお話を伺いました。

テクノアカデミー浜の卒業生でもあるKさんは、久しぶりの母校での授業に懐かしさを感じつつも、大きな刺激を受けたようです。
「普段の業務はロボットづくりと直接関係はないのですが、物事の考え方を広げ、マルチに動けるようになることを目的として会社から研修に参加しました。具体的な作り方や考え方に触れられ、大変勉強になりました」
さらに、今後のF-REIとの連携についても期待を寄せます。
「F-REIのことは、南相馬のロボットテクノロジーを牽引してくれる存在だと思っています。こうした育成の機会を通じて、直接学べる環境があることがとても嬉しいです」

■ 地域の技術力底上げから、F-REIが示す「次なる世界」へ
こうした実践的な基礎講義を重ねる狙いについて、株式会社ゆめサポート南相馬 木村浩之取締役所長にお話を伺いました。
「全8回にわたってメカニクスとソフトウェアを横断的に学ぶ『Cross-Tech育成塾』。その背景には、『言われた部品を作るだけの受け身の姿勢から脱却し、システム全体を俯瞰できる人材を育てること』で、地域に新たな産業を根付かせるという明確なアプローチがあります」と木村所長は言います。
「今後、プログラム内ではF-REI講師を迎えた特別講義が控えています。そこで受講生に一番持ち帰ってほしいものは、単なるロボット製作の技術力ではありません。F-REIが提示する最先端の知見をただ教わるのではなく、『社会に必要とされるものを見極め、自社のビジネスにどう活かすか』という当事者意識(マインド)なんです」

今回の講義で語られた「誰でも使えるロボット(=ビジネスとしてのものづくり)」は、まさにそのマインドの土台となるものです。ここで培われた確かな「現場力」が、F-REIの知見と掛け合わさることで、次世代を担う若手技術者たちにどのような変化をもたらすのか。今後の展開にぜひご期待ください!