福島国際研究教育機構(F-REI)の知見と地域のアイデアを掛け合わせ、新たな価値を生み出す「F-REI地域連携加速化補助金」。採択事業者の取り組みをご紹介するシリーズ、今回は「イガラシ綜業株式会社」(以下、イガラシ綜業)の第1回目です。

茨城県日立市に本社を置き、浪江町にも拠点を構える同社は、イベントの企画立案を担うパートナー企業「READY SOCIAL株式会社」(以下、READY SOCIAL)とタッグを組み、「ドローンコンテンツを通じた次世代人材育成及び地域活性化事業」を展開します。

今回は、イガラシ綜業 営業本部営業部 和氣 原グループリーダーと、READY SOCIALの佐藤夏美代表取締役社長のお二人に、エンターテインメントを通じてF-REIと地域を繋ぐ展望を伺いました。

■事業者プロフィール

法人名:イガラシ綜業株式会社
所在地:茨城県日立市幸町2-8-6(本社)
代表者:代表取締役社長 五十嵐則夫
事業概要:総合電気設備工事を主力としつつ、ドローンを活用したスクール運営や社会インフラの非破壊検査事業なども展開。

イガラシ綜業では、環境エネルギー分野や社会インフラの保全にも積極的に取り組んでいます。長年培ってきた総合電気設備の確かな技術力をベースに、ドローンをはじめとする次世代ソリューションの社会実装にも果敢に挑んでいます。

法人名:READY SOCIAL株式会社
代表者:代表取締役社長 佐藤夏美
事業概要:浪江町を拠点に、地元初の女子サッカーチーム「FUKUSHIMA WWW.(フクシマウィーアー)」の運営や、スポーツを通じた地域課題解決・コミュニティ創出を手がける。

READY SOCIALが運営を手掛ける女子サッカーチーム「FUKUSHIMA WWW.」の選手たち。スポーツを切り口に、双葉郡エリアに新たな活気と人々の交流を生み出す原動力となっています。

■ 出会い:「立地企業」×「地元女子サッカーチーム」

イガラシ綜業は昨年末、浪江町に拠点を新設しました。「本業はもちろんですが、立地したからには地域に根ざし、地域活性化の仲間に入れていただきたいという思いがありました」と和氣氏は語ります。 

そこで考えたのが、2018年頃から茨城県で展開し、ノウハウを蓄積してきた球体ドローンを使ったドローンコンテンツ「ドローンボール」でした。サッカーやバスケットボールに近いこの競技で次世代人材を育成できないか――そう考えていた矢先、浪江町の産業振興課を通じて紹介されたのが、女子サッカーチームを運営するREADY SOCIALの佐藤氏でした。

過去に開催されたドローンボール体験イベントのひとコマ。機体が球体フレームに覆われているため安全性が高く、初めてドローンに触れる子どもたちでも直感的に操作を楽しめるのが魅力です。
チームの特色を活かした地域イベントの様子。こうした「誰もが自然と笑顔になり、気軽に参加できる空間づくり」のノウハウが、今回の事業にも存分に注ぎ込まれます。

「実は弊社は、地元のJリーグチーム(水戸ホーリーホック)やバスケットボールチーム(茨城ロボッツ)のスポンサーを務めるなど、元々スポーツ支援に力を入れているんです。代表の五十嵐も『浪江町にサッカーチームがあるならぜひ応援したい』と話していたので、このマッチングは非常に良いきっかけになりました」(和氣氏)
「タイミング的にも、イガラシ綜業の社員様が定期的に町へ来てくださっていて、一緒に町内を盛り上げようというベースができていましたね」(佐藤氏)

イガラシ綜業 営業本部営業部営業Gの和氣グループリーダー。「立地企業として地域に根ざし、遊びを通じてF-REIの最先端の研究や取組を地域の方々や子どもたちにかみ砕いて伝えたい」と意気込みを語ります。

■ 「近くて遠い存在」? エンタメの力で心理的な壁を壊す

本事業では、練習会を経て、その後浪江町で初開催となるドローンボールの「交流試合」イベントを開催予定です。最大の特徴は、この輪の中に「F-REIの職員」を巻き込む点にあります。

佐藤氏は、地元のリアルな目線からこう意気込みます。
「町の人たちは、F-REIのことを『すごいことをしていると聞くけれど、具体的に何をやっているんだろう?』と、少し遠い存在に感じている部分があると思うんです。ぜひ一般の方にも来場してもらいドローンについて身近に感じたり、『こんな面白い企業がいるんだな』という発見をしていただきたいです」

READY SOCIAL佐藤夏美代表取締役社長。「地域の人、F-REIの人、産業ベースの人が『混ぜこぜ』になってワイワイできる空間を作りたい」と、地元目線でワクワクする展望を語ってくれました。

和氣氏も続きます。「福島イノベーション・コースト構想があり、この地域をシリコンバレーのようにしていく計画がある中で、地域の子どもたちが将来の産業の担い手になるきっかけづくりが必要です。堅い行事ではなく、遊びを通じてF-REIの職員と地域の方々やこどもたちがフランクに話す。それだけで、F-REIが開発を進めている『ドローン』について身近に感じてもらえますし、コミュニケーションが生まれること自体に大きな価値があります」

■ 共に育つ関係性:サポートし合える関係づくり

イガラシ綜業自身も、本業として水素燃料電池を使った社会インフラの非破壊検査用ドローンの開発を見据えています。
「F-REI様からぜひお知恵をいただきたい分野です。ただ、直接的に技術を教わるというよりは、立地企業として他の企業様も含めてF-REI様の研究をサポートし合えるような、日常的なコミュニケーションを図れる関係性に価値があると思っています」(和氣氏)

さらに和氣氏は、今回の補助金を活用したからこそ見えてきた展望についてこう語ります。「民間企業単独の単発イベントで終わらせるのではなく、本補助金を活用できたからこそ、県や自治体としっかり連携することができます。一過性のものではなく、浪江町に日常的に定着する『継続していく仕組み』が作りやすくなったことは非常に大きいです」

地域企業と地元チームの強力なタッグから生まれ、地域のあらゆる人を巻き込んでいく「ドローンボール」プロジェクト。交流試合や体験を通じて、地域の皆さまがドローンに親しみ、その可能性に触れるイベントの様子は、今後のレポートで詳しくお届けします!