福島国際研究教育機構(F-REI)の知見と地域のアイデアを掛け合わせ、新たな価値を生み出す「F-REI地域連携加速化補助金」。採択事業者の取り組みをご紹介するシリーズ、今回は「公益社団法人いわき産学官ネットワーク協会」の第1回目です。

いわき市を拠点に、産学官の連携による地域産業の振興を担う同協会。今回は、事業推進係長の高岡洋平氏、事業推進係長・公共施設マネージャーの遊佐由紀恵氏にお話を伺い、F-REIと地域企業を繋ぐ「いわきものづくり塾®F-REI連携・共創コース」にかける思いや、地域におけるF-REIの存在意義について語っていただきました。

■ 事業者プロフィール

法人名: 公益社団法人いわき産学官ネットワーク協会
所在地: 福島県いわき市平字田町120番地 LATOV6階(いわき産業創造館)
代表者: 会長 猪狩正明
事業概要: いわき地域の産業振興を目指し、産学官のネットワーク構築や人材育成、新事業創出支援などを展開しています。

高岡洋平事業推進係長(左)と、遊佐由紀恵事業推進係長・公共施設マネージャー(右)。いわき地域の産業振興を目指すいわき産学官ネットワーク協会にて、新たな事業構想やマッチングを最前線でサポートするお二人です。

■ エントリーのきっかけ:昨年度の手応えと「実践」へのステップアップ

いわき産学官ネットワーク協会では、昨年度も前身となる委託事業を活用し、「いわきものづくり塾®F-REI連携・共創コース」を実施しました。 高岡氏は「昨年度は約10社の企業や地元の高専生などが参加し、F-REIの研究者から直接講義を受けていただきました。講義後の発表を通じて、いわき市としてF-REIと連携していくための最初の手がかりが掴めたと感じました」と振り返ります。

この取り組みについて、遊佐氏も「さらに深め、ステップアップできる余地を感じた」と、今年度の補助事業にエントリーした理由を語ります。昨年度の「理解促進と事業構想の創出」という成果を踏まえ、今年度は構想段階にとどまらず、将来的な共同研究や実証に繋がるような「実践的な連携」を見据えています。

昨年度開催された「いわきものづくり塾®F-REI連携・共創コース」の講義風景。地元の企業や高専生などが参加し、F-REIの研究者から直接専門的な知見を学ぶことで、地域とF-REIが連携していくための最初の手がかりを掴む貴重な場となりました。

■ F-REIと連携する意義:高度な「知識の源」を地域の力に

「浜通り地域には、高度な研究を行う大学や技術的な機関が減少しているという課題があります。だからこそ、F-REIという高度な技術と知識を持つ機関が地域に存在することの価値は計り知れません。その力を地域にフィードバックし、連携していくことで、地域全体の底上げに繋がると考えています」と高岡氏は語ります。

一方で、地域への浸透に課題も感じているようです。
「一企業や個人から見ると『名前は知っているが規模が大きく、敷居が高い』というイメージを持たれがちです。だからこそ、実際にF-REIの研究者等から直接学ぶことで、F-REIをより身近に感じてもらうことが重要になります。『まずは知る、そして実際に関わってみる』という入り口をつくることが、本事業の大きな狙いの一つです」

■ 事業の概要:講義・ワークショップ・マッチングの三位一体

本事業では、F-REIの知見を地域のアイデアと結びつけるため、主に以下のプログラムを展開します。

○F-REI研究者等による講義:ロボット 分野やエネルギー分野の最先端の研究紹介と、社会実装に向けた応用展望のヒントを学びます。
○事業構想ワークショップ: 講義で得た知見を自社の事業や地域課題に重ね合わせ、事業構想を具体化します。
○個別伴走支援: 事業構想を有する参加者に対し、専門のコーディネーターがついて具体化を伴走支援します。
○HAMA-HUB(共創・マッチングイベント): 大熊インキュベーションセンター、本協会が連携して行うイベント。スタートアップや先端企業、地域企業などから約120名が集まり、ピッチや交流を通じてマッチングを促進します。

お二人は「今年は本事業に『HAMA-HUB』を組み込ませていただきます。構想を練るだけでなく、具体的な繋がりを作る場を提供したい」と意気込みます。

昨年度開催された共創・マッチングイベント「HAMA-HUB」の様子。スタートアップや先端企業、地域企業など多様なプレイヤーが一堂に会し、ピッチや交流を通じて実践的な連携や新たなビジネスの種を生み出す熱気あふれる空間です。

■ 本事業内で目指す成果:双方にメリットのある「共創」へ

いわき産学官ネットワーク協会がこの取り組みを通じて目指すのは、F-REIと地域企業が相互にメリットを享受できる「共創・連携関係」の構築です。

地域企業にとっては、F-REIの研究成果への理解を深めて自社ビジネスのアイデアの種とし、「研究成果の産業化」に繋がる具体的な連携テーマを生み出すことが目標であり、こうした産業化への実践的な取り組みを通じて、地域を牽引する次世代人材の育成にも繋げていきたいとのこと。
同時に、「F-REIにとっても、地域との継続的な関係作りを通じて、研究成果の社会実装に向けた実践や検証の機会を得ることができるはず」、「単なる研究機関ではなく、地域企業にとっての『共創パートナー』としての認知を高めていきたい」とお二人は展望を語ります。

F-REIという極めて学術的で貴重な「知識の源」がいわきのすぐそばにある価値。それに気づき、それを武器として新たな産業へ挑む第一歩となるのが、今回の「いわきものづくり塾®F-REI連携・共創コース」です。 次回以降のレポートでは、実際の講義の様子や、F-REIの最先端の知見に触れて刺激を受ける参加者の皆さんの姿を詳しくお届けします!お楽しみに!