福島国際研究教育機構(F-REI)の知見と地域のアイデアを掛け合わせ、新たな価値を生み出す「F-REI地域連携加速化補助金」。採択事業者の取り組みをご紹介するシリーズ、株式会社マスヒロの第2回レポートです。 

前回ご紹介した「浜通りの交通課題解決(ラストワンマイル)とスマートシティ構想」に向け、いよいよ現場での実証実験が本格始動しました。
今回は、東北大学の学生たちを迎えて実施された「軽モビリティ周遊デモツアー」の走行体験の様子と、参加者の生の声をお伝えします。

■ 東北大学の学生が参加!F-REIと浪江・双葉を巡る実証ツアー

モビリティでの周遊に先立ち、F-REI事務所を訪問。F-REIの役割や最先端の研究について学ぶ有意義な時間が設けられました。
F-REI建設予定地の周辺や浪江町内を電動モビリティで周遊する東北大学の学生たち。免許がなくても手軽に移動できる新たな足として期待が高まります。


2026年8月2日〜9日の8日間にわたり、浪江町・双葉町を舞台に電動モビリティの実証ツアーが開催されました。

参加したのは東北大学の学生、のべ10名(日替わり参加)。参加した学生の約8割が自動車免許を持っていません。今回の実証で活用されたのは、16歳以上であれば免許不要で乗れる「特定小型原動機付自転車」のカテゴリーに対応した先端モビリティです。

取材した日の行程は、滞在先の宿泊施設を出発し、まずはF-REIの事務所を訪問。F-REIの役割について学ぶ視察・研修が行われました。 その後、F-REIを起点としたイメージで、完成に向けて工事が進む「F-REI建設予定地」の外周をモビリティで一周。その後、いこいの村なみえ、浪江駅や道の駅なみえ、請戸漁港、請戸小学校、大平山霊園、東日本大震災・原子力災害伝承館、福島県復興祈念公園と、浪江町・双葉町の主要スポットを実際に巡りながら、移動の利便性や安全性を検証しました。

■ 参加者が実感!「行きたいところへ気軽に行ける」快適さ

乗車前には増子代表から丁寧な交通ルール講習と安全レクチャーを実施。ヘルメットもしっかりと装着し、安心して実証ツアーをスタートしました。


実際にモビリティに乗って浪江町内を巡った学生たちからは、驚きと喜びの声が上がりました。二次交通(駅や宿からの移動手段)が限られる浜通りにおいて、この「軽モビリティ」がいかに便利なツールとなるか、参加者のコメントから浮き彫りになります。

【参加した大学生から寄せられたコメント】
○「短時間で町を深く知ることができた」
「徒歩やバスだと回れる場所が限られますが、モビリティなら短時間でラクに要所を巡ることができます。ただ移動するだけでなく、浪江の歴史や復興の歩みを理解する機会になりました。」

○「レクチャーと無線インカムがあるから安心」
「乗る前は少し不安もありましたが、事前の丁寧な交通ルール講習と運転レクチャーのおかげで安心してスタートできました。走行中も『楽旅(ラクタビ)』システムの無線インカムで案内してくれている増子さんと会話ができたので、迷うこともなく快適でした。」

■ 乗り比べも楽しい!個性豊かな「先端モビリティ」ラインナップ

今回の実証に用意された多種多様なモビリティ。用途や好みに合わせて乗り比べができるのも魅力です。


今回の実証ツアーの大きな目玉は、異なるメーカー・特徴を持つ3種類・計7台のモビリティを用意し、参加者が乗り比べを行えたことです。用途や体格、好みに合わせた最適な車体を探れるのは、包括的なプラットフォームを持つマスヒロならではの強みです。
こちらの記事では、取材の日にテスト走行していたいくつかのモビリティをピックアップしてご紹介します。

電動キックボード

オンロード仕様でクセがなく、他地域でも多数の導入実績がある信頼性の高い機体。1回の充電で約60kmの走行が可能です。スリムで折りたためるため、車やバスへの複数台積載にも適しています。


折りたたみ電動サイクル(glafit等)

コンパクトに折りたためる電動サイクル。Suica等でスマートにロック解除できる最新IoT機能を備えます。

フルサイズ電動サイクル(YADEA)

前カゴ付きで買い物や所用にも便利なフルサイズモデル。100kmの連続走行が可能で、段差に強いサスペンションも魅力です。

電動キックボード

キック不要で進めるモードも有しており、電動スクーター的な活用も可能。走行スピードは6Kmと20Kmの2種類の切り替えができます。


■ 安全と連携を担保する独自システム「楽旅(ラクタビ)」

今回の実証実験の特徴として、単なる機体の貸し出しにとどまらない、安全性と体験価値を高めるマスヒロ独自のモビリティツアー支援システム「楽旅(ラクタビ)」を活用している点が挙げられます。
一般的な無人のシェアリングサービスとは異なり、引率ガイドが同行するのが大きな特徴です。参加者はインカム無線付きのヘルメットを着用し、走行中もガイドや参加者同士で常に意思疎通(連携)を図ることができます。また、360度カメラを搭載することでドライブレコーダーとしてのセキュリティ機能を持たせつつ、乗車シーンの動画を参加者に思い出のデータとして提供する仕組みも備わっています。 安全・安心に配慮しながら地域を巡るこのシステムにより、学生や観光客はもちろん、将来的には免許返納者も安心して楽しめる「未来の移動」を実証しています。

■ F-REI連携×補助金で加速する「まちづくりのリアル」

建設が進むF-REIの周辺を実際に走行。学生たちからのリアルなフィードバックを今後に活かしていきます。


「F-REI地域連携加速化補助金」を活用した今回の実証実験は、単なる『乗り物の体験会』にとどまりません。
「F-REIという巨大拠点ができたとき、世界から集まる研究者や学生、視察者たちがどう町を移動するのか?」
この問いに対する解(ソリューション)を、F-REIの建設が進む“まさに今”、現地で検証できていることこそが本事業最大の意義です。

走行データの収集だけでなく、「道路の端にある砂の清掃が必要」「モビリティ専用レーンがあるとより安全」といった学生たちのリアルなフィードバックを、今後の浪江町の道路環境整備やインフラ設計へと共有していきます。

さらに今後は、免許返納者や高齢者も安全に乗れる「4輪モビリティ」や、浪江町内で作られた水素エネルギーを活用する「水素燃料電池モビリティ」の導入実証も控えています。

■ 次回予告:地域と先端技術が融合する未来へ

「誰もが楽しめて、社会に役立つ未来の創造」を掲げ、浪江町を舞台に走り出した株式会社マスヒロ。
F-REIを訪れる人々や地域住民が「ラクに、楽しく、安全に」移動できるスマートシティの実現に向けて、挑戦は続きます。
次回第3回のレポートでは、異なる実証とその成果や、地域の未来像について詳しくお伝えします。どうぞご期待ください!