福島国際研究教育機構(F-REI)の知見と地域のアイデアを掛け合わせ、新たな価値を生み出す「F-REI地域連携加速化補助金」。採択事業者の取り組みをご紹介するシリーズ、2つ目の団体が登場です。

今回は「株式会社いのちとぶんか社」の取締役・葛西優香氏と、浪江町に移住した大橋未来氏のお二人にお話を伺ってきました。
音声媒体を通じてF-REIと地域住民の距離を縮め、次世代を担う子どもたちの未来を広げる挑戦に迫ります。

■事業者プロフィール

地域と連携して取り組む、命を守る「防災」活動の様子。
代表の葛西氏を中心に展開する「和太鼓(文化)」を通じた地域づくりの様子

株式会社いのちとぶんか社
所在地:福島県双葉郡浪江町大字牛渡字大添17-8
代表者:代表取締役社長 葛西 啓之
事業概要:「命を守る」防災の取り組みと、代表がプロ奏者でもある和太鼓をはじめとした「日本文化」を掛け合わせ、災害時にも助け合えるまちづくりを展開。自治体や地域のデベロッパー等とともに、多様な地域づくりに携わっています。

■エントリーのきっかけ:異なる背景を持つ2人の出会いから

今回お話を伺った、株式会社いのちとぶんか社 取締役の葛西優香氏(左)と、F-REIクロストークのパーソナリティ大橋未来氏(右)。

取締役の葛西氏は、防災を伝える活動の中で浪江町と出会い、5前年に移住してきました。一方、パーソナリティを務める大橋氏は札幌出身。前職のメーカー勤務時代に「技術開発などの難しい内容を噛み砕いて伝える」広報的な業務に楽しさを見出し、ご主人の転勤をきっかけとしてご夫婦で浪江町へやってきました。
現在、町民の方々と設立を目指して準備を進めている「なみえFM」。将来的な電波での放送実現に向け、まずは今後の放送内容のニーズを把握するため、YouTube配信などによるサンプル番組の制作・配信に挑戦しています。
地域住民として様々な活動に参加する中で出会い、意気投合したお二人は、この立ち上げ活動においてタッグを組むことになりました。

この活動を知る官民合同チームや町役場の方から補助金の紹介を受け、「なみえFMでのクロストークをより発展させたい」「F-REI関係者と地元中高生が接点を持つことで、子どもたちの夢や世界観が広がる取り組みを生み出したい」という思いからエントリーに至りました。

■ 事業の目的と概要:まちづくりと対話、2つの視点

本事業の核となるのは、F-REIの専門的な知見を「音声媒体(YouTube等での動画配信)」、ゆくゆくは「コミュニティFM」で地域へ届けることです。
その意義についてお二人はそれぞれ独自の、そして互いに補完し合う視点を持っています。



【葛西様の視点:まちづくりにおける「価値」の創造】
F-REIの研究者として世界を対象に専門的な研究を行う方々が福島に来て、地域を専門的視点で捉え発信していく。そんな巨大な研究拠点が町にあることは、普通に生活していては得られない稀有な環境です。
町民の皆様がそれを「価値」として感じ、自分たちの生活の中にF-REIとのつながりを盛り込んでいくような行動が生まれることこそが、町の発展に寄与すると考えています。

【大橋様の視点:「今だからこそ」必要なコミュニケーション】
F-REIという組織の建物が完成してから、いきなり町民との交流が「0から100」になることは非常に困難なのではないかと感じます。だからこそ、施設が立ち上がっていく「今のうちから」F-REIを理解している町民を増やしていく必要があります。
難しい専門用語を噛み砕いた言葉で伝え、参加した人がさらに自分の言葉で周囲へ伝えていく。その「口コミ」の連鎖によって、F-REIを受け入れる土壌と雰囲気を今のうちから醸成することが重要だと感じています。

■具体的な実証内容

7月に別事業の一環として開催されたトークセッションの様子。建築現場の事務所(浪江町駅周辺整備事業 現地事務所)を会場に、F-REI職員のお2人と浪江町民が参加しました。

本事業では以下のような取り組みを進めます。
○F-REI関係者とのトークセッション
F-REIの研究者、職員をゲストに迎え、事業内容や人となりをインタビュー。専門用語を大橋氏らの手で噛み砕き、町民にわかりやすく伝える番組を制作し、F-REIのYouTubeチャンネル等で配信します。
○中高生が主役となる教育コーナー
町内在住の中高生が自らインタビュアーとなり、F-REI職員へ取材を行います。研究内容に触れ、思考を整理し、自分の言葉で感想を発信することで、社会との接点を持ち、将来の視野を広げる機会を創出します。

■ 本事業内で目指す成果・目標

F-REIの技術者へインタビューする様子。専門的な研究内容から個人的に好きなことまで、幅広いテーマを引き出す楽しいヒアリングに会場は大いに盛り上がりました。

株式会社いのちとぶんか社が目指すのは、「F-REIの存在を地域住民が自分ごととして捉えられる町」です。

「研究者」という大人に子どもたちが直接触れることで、例えば「ロボットが好き」「ドローンを飛ばしてみたい」といった身近な興味が、将来の夢へと繋がっていくかもしれません。 目標としてコラボ動画の再生回数500回以上を掲げ、浪江町や復興に関心を持つ層へ「正しく届く」発信を追求します。

■ 目下の取り組み(本格着手に向けて)

現在は、秋以降の本格配信に向けた準備を進めています。 直近の予定として、次回以降のトークセッションの出演者や内容の選定、中高生コーナーのパーソナリティ選びとヒアリングを通じたF-REI側へのオファー調整を行っています。 また、制作したコンテンツをより多くの方に届けるための広報手法についても検討を進めています。

「声」を通じてF-REIと地域を結ぶ取り組みに挑むいのちとぶんか社。
次回、実際のトークセッションの様子を取材してご紹介いたします。おたのしみに!